フィリピンには22の活火山(1万年前以降に活動した火山)があり、近年も活動しています。
直近では2020年1月にタール火山が噴火し、付近に大きな被害をもたらしました。僕たちは今のところ噴火の被害はないとはいえ、日本に住んでいる人たちにとっても、噴火は全く関係のないことではありません。
今回はフィリピンの火山について、いくつか抜粋してご紹介します。
フィリピンの火山
タール火山(Taal Volcano)
- 場所:火山島(Volcano Island)
- 標高:311メートル
- 最新の噴火:2020年1月12日
ルソン島のバタンガス州にあるタール湖に島があり、それを火山島と呼びます。タール火山は火山島にあり、火口にはまたカルデラ湖があり、そこに島があるという、おもしろい構造でした。マニラからは南に約60kmです。
島の中の湖の中の島に火山があり、その中の湖の中に島があります
直近で噴火する前までは、避暑地や観光地として有名で、日本人観光客も訪れる場所でした。特に山の頂上は絶景で、馬に乗って行くことができます。
2020年の噴火は、1977年以来43年ぶりのことです。噴煙は上空10,000メートルまで上がり、計75回の地震も計測。火山灰はマニラまで届き、マニラ空港も一時的に閉鎖されました。
日本でもニュースになりましたね。火山灰などの小さな粒子の摩擦で「火山雷」なるものが発生したそうです。周辺の住民約37万人が避難を余儀なくされました。
中には火山島に住んでいた貧困層もいました。島に永住することはリスクが高いため、フィリピン火山地震研究所により禁止されています。しかし、貧困層に選択肢は無く、火山性の土壌から穫れる農作物で生計を立てる人もいました。
フィリピン国内では、取り残された動物たちが死んでいるというニュースがあったのを覚えています。
また、防塵マスクが売り切れになるという事態も起きました。皮肉にも約2ヶ月後にはコロナの影響で外出時のマスク着用が義務付けられることになります。
当時の様子はYouTubeにもアップされているのでご確認ください。
ピナトゥボ山(Mt. Pinatubo)
- 場所:ルソン島
- 標高:1,486メートル
- 最新の噴火:1991年6月15日
1991年の噴火は、米地質調査所によって20世紀に陸上で発生した噴火として最大規模とされました。噴火前に1,745メートルあった標高が、1,486メートルまで小さくなっています。噴火する前までは山は密林でおおわれ、数千人の先住民アエタ族が暮らしていました。
この噴火は約400年ぶりのことでした。火砕流、火山灰に加え火山泥流が発生して家屋を倒壊するなど、死者847名、行方不明者23名、被害者総数120万人の甚大な被害を出しています。
その後、倒壊しなかった村へ帰ったアエタ族もいましたが、多くは街中で暮らしていくことを余儀なくされました。
噴火の影響で地球の気温が下がります。
1993年の米騒動はピナトゥボ山の噴火の影響が強いとみられています。
マヨン山(Mayon Volcano)
- 場所:ルソン島
- 標高:2,463メートル
- 最新の噴火:2018年1月
「マヨン」はビコール語で美しいという意味の「マガヨン」に由来すると言われています。ビサヤ語でも、「マアヨ」=Goodの意味があります。富士山と同じような美しい円錐形が特徴で、日本人からは「ルソン富士」と呼ばれていました。
17世紀から21世紀の400年間で50回も噴火しており、2013年には観光客ら5人が犠牲になりました。2000年、2006年、2009年にも噴火しています。
小規模の噴火も多く、どれを最新の噴火とするかわかりませんが、日本国大使館の発表を参考に2018年としました。この噴火で住民1万2,000人以上が避難しています。
カンラオン火山(Canlaon Volcano)
- 場所:ネグロス島
- 標高:2,465メートル
- 最新の噴火:2016年6月18日
Canlaon VolcanoやMount Kanlaonなど、つづりはまちまちです。標高2,435メートルとするソースもあります。
ネグロス島を西ネグロス州と東ネグロス州に分ける大きな火山です。西と東で言語が違いますが、境界あたりは2つの言語が混在していて、カンラオン火山中腹の住人はどちらの言語も話すことができます。
友達が住んでいるので行ったことがあります
登山やハイキングも人気
1819年以降、30回噴火していて、小さな地震は毎年のように起きています。
世界で最も危険な火山
活火山が多く、噴火も多いフィリピンは危険なのでしょうか?
世界で最も危険な火山ランキングを見てみましょう。2015年にマンチェスター大学の教授が発表した、100年以内に噴火し100万人以上が命の危険にさらされる可能性のある火山のランキングです。
World’s 10 most dangerous volcanoes identified
- 1位:硫黄島(東京都小笠原村)
- 2位:アポヤケ山(ニカラグア)
- 3位:フレグレイ平野(イタリア)
- 4位:阿蘇山(熊本県)
- 5位:トランスメキシコ火山帯(メキシコ)
- 6位:アグン山(インドネシア)
- 7位:カメルーン山(カメルーン)
- 8位:タール火山(フィリピン)
- 9位:マヨン山(フィリピン)
- 10位:ケルート山(インドネシア)
フィリピンからはタール火山とマヨン山が7位と8位にランクインしていますが、それぞれ2020年と2018年に噴火しました。
ランキング通りフィリピンの火山は危険かと思われますが、日本からは硫黄島と阿蘇山が1位と4位にランクインしています。特に阿蘇山で数千年に一度規模の大噴火が起きると、九州は壊滅し日本全土に火山灰が降り注ぐとも言われています。
日本は世界有数の火山大国として有名で、108の活火山があり、世界の活火山の7%を占めています。
人は常に自然の脅威にさらされながら生活しています。地震や津波、台風などで被災することはもはや他人事ではありません。
まとめ
フィリピンの火山をいくつかご紹介しましたが、ここ数年でも噴火があり、多くの被害を出していることがわかります。
僕が住んでいるセブ島は、今のところ噴火の脅威はないとはいえ、いつ大規模な自然災害が起きるかわかりません。これは世界中どこでも同じだと思います。
日本もフィリピンも、地震、台風、噴火などの災害が多い国です。自然災害を防ぐことはできませんが、今のところできるだけの準備はしておきましょう。
コメント