ドゥテルテ大統領は、現在のフィリピンの大統領で、通算では16代目です。大統領としての任期は2016年からですが、1988年からミンダナオ島のダバオ市長、副市長、下院議員を歴任してきました。
日本では過激な発言や行動が注目されることが多いですが、フィリピンでの支持率は高く、今のフィリピンを考える上で欠かせません。
今回はドゥテルテ大統領についてご紹介します。
ロドリゴ・ドゥテルテ
ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)は、1945年3月28日生まれのフィリピンの政治家です。
幼少期~検察官
ドゥテルテの出身はレイテ島ですが、幼少期にミンダナオ島のダバオに移ります。
10代の頃から刑務所に出入りしており、16歳の時には喧嘩で人を刺し殺したとも発言しています。
父親は法律家で、独裁者であるマルコス大統領の政権で内務省として務めていましたが、ドゥテルテも大学院で法律を学び、1977年、ダバオの検察官になりました。
ダバオ市長、副市長
検察官として約10年働いた後、1986年にダバオ副市長に、1988年にダバオ市長に選出されます。1992年、1995年に改選され3期務めますが、4期目は再選禁止のため下院議員となり、1998年から2001年まで務めます。
2001年には再びダバオ市長に当選、2004年、2007年に改選され3期務めます。
ずっとダバオ市長!
また3期終わりました
2010年はまた再選禁止です。今度は娘のサラ・ドゥテルテをダバオ市長に当選させ、自身はダバオ副市長を務めることになりました。
2013年に7期目のダバオ市長に当選。2016年まで1期3年務めて大統領に当選します。
- 1977~1986検察局
- 1986~1988ダバオ副市長
- 1988~1998ダバオ市長
- 1998~2001下院議員
- 2001~2010ダバオ市長
- 2010~2013ダバオ副市長
- 2013~2016ダバオ市長
- 2016~大統領
輝かしい経歴です
今でも地元のダバオでは支持率90%を超える大人気です
ドゥテルテが大統領に当選した2016年以降、ダバオ市長は娘のサラ・ドゥテルテが、副市長は2013年以降息子のパオロ・ドゥテルテ、セバスチャン・ドゥテルテが務めています。
ダバオ市長としてドゥテルテが行ったのが、「ダバオ・デス・スクワッド」という自警団による犯罪者の殺害です。
ドゥテルテ黙認の下で、超法規的措置による私刑で犯罪者を殺害していました。当然ですが、人権団体などからの批判もあります。
一方でダバオでは犯罪発生率が劇的に軽減し、今では「フィリピンで1番治安がいい都市」とも呼ばれています。
犯罪者を殺せば犯罪がなくなる
過激ですが、実際に治安はよくなりました
ドゥテルテ大統領
2016年の大統領選挙で当選し、6月30日に就任しました。当時は同じ時期に話題だったアメリカのトランプになぞらえて、「フィリピンのトランプ」とよく言われていました。
フィリピンの大統領は任期が6年で再選禁止なので、ドゥテルテ大統領の任期は2022年までです。マルコス大統領の独裁の悲劇から生まれた法律ですが、最近は再選できるよう法律を改正しようといった声もあります。
その支持率は常に高く、ある調査では2020年2月に82%、別の調査では2020年10月に91%でした。
参考:ドゥテルテ政権の支持率82%、全世代と全地域から高い支持-ジェトロ、大統領支持率91%に上昇 就任以来最高、コロナ対策評価-NNA ASIA
2016年のフィリピン大統領選挙
2016年のフィリピン大統領選挙の投票率は80.69%でした。日本の衆議院選挙、参議院選挙では、記録がある昭和21年以降、80%を超えたことは1度もありませんし、ここ数年は50%前後です。 国政選挙における投票率の推移-総務省
フィリピンの選挙は自分の生活に与える影響が大きそうです
結果は以下の通りです。
- ロドリゴ・ドゥテルテ 39.02%
- マヌエル・ロハス 29.45%
- グレース・ポー 21.39%
- ジェジョマール・ビナイ 12.73%
- ミリアム・デフェンサー・サンティアゴ 3.42%
2016 Philippine presidential election-Wikipedia
ドゥテルテ大統領の得票率は39%と圧勝ですが、2位のマヌエル・ロハスと3位のグレース・ポーは似た政策の穏健派なので、票が割れてもったいないと思ったのを覚えています。
ドゥテルテの政策は現行犯での射殺が許可されたりと、当時は僕も怖いと思っていました
ドゥテルテの得票率はダバオではもっと圧倒的で、89.47%でした。
2016年の選挙期間中は僕もセブにいましたが、「DU30」という文字をよく見かけました。ドゥテルテは現地では「ドゥターティ」のような発音です。30は「ターティ」のように発音するので、DU30はドゥテルテを表します。
当時はこんなステッカーやTシャツをよく見かけました。
ドゥテルテは犯罪者を殺すことを公約としていたので、犯罪者はドゥテルテ大統領就任を恐れ、そうでない人は歓迎していました。DU30のステッカーは潔白の表明のような感じです。
ドゥテルテ大統領の功績
ドゥテルテ大統領就任以降、麻薬戦争、超法規的殺人を恐れた犯罪者達が次々に自首し、刑務所がキャパオーバーになるという、いかにもな海外面白ニュースがありました。
日本では過激な発言ばかり取り上げられますが、見えづらい功績も多いです。経済面では大規模なインフラ整備や貧困層への支援、小さなところでは国内全面禁煙などがあります。
また、汚職の撲滅にも力を入れていて、汚職をした官僚や警察官は殺すと発言しています。
これに関しては大歓迎!応援します!
ドゥテルテ大統領への批判
ドゥテルテ大統領はあまりにも過激なので、批判も多くあります。特に批判されるのは超法規的殺人の功罪の罪の部分です。
犯罪者を殺すことの善し悪しは一旦置いておくとして、それに巻き込まれた一般人が亡くなるという事件も多く起こりました。これに関しては100%悪です。
フィリピンでも批判はありますが、それでも支持率80%以上ということは、賛否両論の賛が大きいんですかね。
まとめ
ドゥテルテ大統領は過激な発言や行動で注目され、批判もありますが、フィリピン国内では支持率が高いです。
「犯罪者は殺す」というのは当然人権問題になり、そんなことはなかなか言えませんが、誰でも思うことかもしれません。ドゥテルテはそれをはっきり言うので支持されるのかもしれませんね。
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