なぜ海外逃亡はフィリピンなのか 物価が安く暮らしやすいという幻想

海外逃亡と言えばフィリピンのイメージがありますよね。僕も子供の頃からドラマなどでよく見てきました。特に、マニラに高飛びとよく聞きますし、昔も今も多いです。

最近では逃亡した日本人がマニラで捕まるというのが、2018年と2019年に立て続けに起こりました。

今回はこれらも含めて、フィリピンに高飛びした事例をいくつかご紹介します。また、なぜ海外逃亡と言えばフィリピンなのかを考えてみました。。

目次

フィリピンに海外逃亡した事例

漫画村運営者 星野ロミ

  • 2019年5月 フィリピンに入国
  • 7月7日 マニラ空港で拘束
  • 9月24日 日本に強制送還

フィリピンで拘束されたのは2019年7月のことで、記憶に新しいと思います。漫画村とは、違法コピーした漫画を無料で公開した海賊版サイトで、当時はすごく有名になりました。フィリピンのニュースにもなっていて、名前も生年月日も全部公開されています。

マニラの日本国大使館の要望を受けたフィリピンの入国管理局は、星野ロミ容疑者をマニラ空港で拘束、9月には日本に強制送還されています。

星野ロミ容疑者は歓楽街で有名なエルミタに滞在していたそうです。

地面師 カミンスカス操

  • 2018年10月13日 羽田空港からマニラ空港へ高飛び
  • 12月19日 身柄を拘束
  • 2019年1月11日 日本に強制送還

こちらも最近のことで、カミンスカス(旧姓小山)操容疑者がフィリピンで拘束されたのは2018年12月です。

積水ハウスが土地購入代金55億円を騙し取られた事件で、僕は地面師がフィリピンで拘束されたというニュースもリアルタイムで見ていました。

カミンスカス操容疑者は日本ではフィリピンパブによく通っていたそうで、かつて結婚していたマニラ在住の女性を頼って高飛びしました。

理由はわかりませんが、日本の警察は潜伏先を把握していて、リゾートホテルを転々としていたそうです。こちらも歓楽街のアンヘレスで確認されています。

だが、すでに観光ビザの滞在期限が切れている。そうして滞在69日目、フィリピン当局と連携し、強制的に〝出頭〟させ、身柄を押さえたのである。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59125?page=1&imp=0

観光ビザが切れたとして、出頭するでしょうか?強制的に出頭させるというのがよくわかりません。

また、入国時640万円だった所持金は、拘束時には半分ほどに減っていたそうです。

六本木クラブ襲撃事件 見立真一

  • 2012年9月上旬 海外に逃亡
  • 11月 ジャカルタからマニラに到着

六本木クラブ襲撃事件とは、2012年9月2日に発生した殺人事件です。関東連合のリーダーだった見立真一容疑者は事件の主犯格として指名手配され、現在も逃亡中です。

2016年にはこんな記事があります。

現在、フィリピンの離島にいる彼は、マフィアとも反政府軍団とも言われる人たちに匿われていると聞く。一時期、ペルー国籍を取って逃げ切るという話もあったけど、整形し顔も国籍も変えて日本に密入国する可能性もあるでしょう。

関東連合元最高幹部「見立君はフィリピンの離島にいる」

2020年にもこんな記事が。

いまはフィリピンにいるが、一生暮らせるだけのカネもあるし、現地での生活に不自由しないしっかりとした支援者がいると聞いている。

文春オンライン

警視庁は今も指名手配しています。

手配の男は、事件直後海外に逃亡していますが、既に、日本に帰国し国内に潜伏している可能性も十分考えられます。

予想される立ち回り先としては、東京都内、静岡県内、埼玉県内及び宮城県内が考えられます。

警視庁

今も捕まっておらず、どこにいるかもわからないみたいですね。

覚せい剤取締法違反 小向美奈子

  • 2011年 1月21日 フィリピンへ出国
  • 2月25日 日本に帰国、逮捕
  • 3月18日 不起訴
  • 3月24日 フィリピンへ出国

小向美奈子は2009年2月26日に覚せい剤取締法違反の有罪判決を受け、3年間の執行猶予中でした。2011年1月に出国したのは、元々フィリピンに長期滞在予定だったそうで、逃亡ではないという記事もあります。

当時は日本人がビザ無しで滞在できる期間が21日でしたが、語学の勉強のためにビザの延長もしているそうです。

その後、自ら日本に帰国して逮捕され、不起訴となっています。そのため、ほかの事例と同等に扱うのは違うかもしれませんが、一部では海外逃亡してマニラに高飛びという記事もあります。

三和銀行オンライン詐欺事件

  • 1981年3月25日 マニラに高飛び
  • 9月8日 身柄を拘束
  • 9月10日 強制送還

調べたところ、フィリピンへ逃亡した最も古い事例がこれでした。Wikipedia

記録に残っていない事例もたくさんあると思いますが。

三和銀行オンライン詐欺事件とは、1981年3月25日に、当時の三和銀行の女性行員が支店のオンライン端末を不正操作して起こした横領、詐欺事件です。女性は詐取した全額を恋人に渡し、500万円を持ってマニラに逃亡しました。

国際指名手配された女性は9月8日にマニラ入国管理局に身柄を拘束され、10日には日本に強制送還されます。

マニラでの拘束中にマスコミにインタビューされ、その際に発した「好きな人のためにやりました」は当時の流行語になったそうです。また、若い美人女性による犯行という点でも世間から注目を集めました。

1982年7月27日に懲役2年6ヶ月の実刑判決が言い渡されて服役し、模範囚だったため1984年8月に仮釈放となりました。

後に事件をモデルにした小説や映画、ドラマが数々登場したそうですが、マニラに高飛びのイメージはここからでしょうか?

なぜフィリピンに逃亡するのか

イメージ通り、フィリピン特にマニラに逃亡する犯罪者は多いです。ではなぜフィリピンなのでしょうか。犯罪者に聞いたわけではないので、僕が考えられる範囲の予想ですが、「フィリピンに逃亡すれば見つからず、一生遊んで暮らせる(と思っているから)」だと思います。しかしそれは犯罪者の幻想で、実際はそんなことはありません。

物価が安い

まず、フィリピンは物価が安いことで知られています。平均月収は約2万円で、それで4人家族が暮らせるくらいです。ただ、それはローカルな生活ができればであって、実際に日本人がフィリピンで暮らすと日本と同じくらいかかります。

お湯のシャワーが付いているレベルのアパートで、家賃は3万円以上、コンドミニアムなら5万円から10万円以上のところもあります。また、屋台や食堂では1食100円程度で食べられますが、日本食レストランなら日本と同じくらいの値段です。

お酒を飲んだり、夜の店で遊んだりすればもっとかかり、実際にカミンスカス操容疑者は歓楽街で豪遊したのか、2ヶ月で約300万円減っていました。

ツテがある

カミンスカス操は日本で結婚していたマニラ在住の女性を頼って高飛びしました。見立真一もフィリピンにツテがあったようです。

2005年くらいまでは、いわゆるタレントビザで日本に出稼ぎに来るフィリピン人女性が多く、フィリピンとの繋がりがある男性も多いのではないでしょうか。フィリピンに幻想を抱いている人や、勘違いしている人もいそうです。そういった「ジャパゆきさん」からの情報や手引きで逃亡する人もいます。

歓楽街に滞在する人も多いですが、これもそういった理由からです。また、夜のお店であれば、日本語が通じる人も少なからずいます。

犯罪者が暮らしやすい

フィリピンでは警察の汚職が有名で、お金さえあれば何でもできる。無法地帯で、ドラッグも簡単に手に入ると思われていたのも過去の話です。

ドゥテルテ大統領は汚職や薬物は絶対に許さないという姿勢で、犯罪者の射殺も許可しています。大統領に就任した2016年には、射殺されることを恐れた多くの犯罪者が自首をして、刑務所がキャパオーバーになるということもありました。

確かにそれ以前は暮らしやすかったかもしれません。昔はフィリピンに多くいたからか、「ヤクザ」という日本語を知っているフィリピン人も多いです。

ただ、国際指名手配の場合、空港で捕まるので出国することはできません。犯罪者は指名手配される前に日本を出国し、一生フィリピンで暮らすことになります。これも実際やるとなると難しいです。星野ロミは出国しようとしてマニラの空港で捕まっていますからね。

もちろんビザの更新もできません。入国後1ヶ月で観光ビザが切れたあとは不法滞在になります。フィリピンでは35歳からリタイアメントビザが取得でき、移住先として人気でしたが、これを使った犯罪が多く、2020年から新規の発給が一時ストップしています。

星野ロミもカミンスカス操もマニラの歓楽街に滞在していたようですが、これが間違いでしたね。犯罪者が遊んで暮らせることはありません。捕まる確率を下げるなら、日本人がおらず、警察の目が届かないようなド田舎で暮らすべきですが、これも無理でしょう。

まとめ

海外逃亡するならフィリピンと思いつく人が多いようですが、日本人がイメージするような無法地帯でも発展途上国でもなく、犯罪者にとって暮らしやすいということはありません。

星野ロミはせっかくフィリピンに潜伏したのに、出国しようとして捕まり、カミンスカス操はマニラの歓楽街で2ヶ月で所持金の半分の約300万円使っています。どちらもフィリピン入国から捕まるまで2ヶ月しか逃亡できませんでした

見立真一容疑者はいまだに逃亡中です。他にもフィリピンに潜伏している、指名手配されるほどでもない犯罪者はいるかもしれません。証言通りフィリピンの離島にいて、一生暮らせるお金があるなら捕まえるのは難しいかもしれませんね。ただ、離島で一生暮らすのもしんどいと思います。逃亡できたとしても、ずっと逃げながら惨めに生きるだけです。

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