データで見るフィリピンの収入格差 貧困層と富裕層の月収はどれくらい?

多くの日本人にとってフィリピンは発展途上国というイメージがあると思います。実際にGDPだけ見ても日本とフィリピンでは差があります。

僕は今までにフィリピン人のほとんどが中流層以下、ごくわずかな富裕層もいると言ってきました。ほとんど主観だったので、今回はデータで見てみようと思います。

日本語で検索しても、ソースが無い情報ばかりで、なかなか信ぴょう性のあるデータが得られません。この記事のデータは全てフィリピン政府の機関、フィリピン統計機構(Philippine Statistics Authority)を参考にしています。金額はフィリピンペソなので、日本円にするなら2.2倍してください。

目次

世帯あたりの収入格差

このデータは1世帯を5人としています。ソースのLow income、Middle income、Upper incomeをそれぞれ、低所得層、中流層、富裕層としました。定義は、Official Poverty Line(貧困ライン)と比較して、

  • 低所得層:2倍以下
  • 中流層:2~12倍
  • 富裕層:12倍以上

です。ちなみに、2015年の貧困ラインは9,100ペソ、2018年は10,000ペソです。

月収人口あたりの割合
低所得層~18,20058.1%
中流層18,200~109,20040.5%
富裕層109,200~1.4%
(2015年)

この表からわかる通り、フィリピンの人口の6割弱が低所得層です。なかでも、貧困ライン以下の貧困層は2015年で23.3%、2018年で16.6%でした。中流層以下は98.6%なので、「フィリピン人のほとんどが中流層以下」というのは言えそうです。

貧困層は5人家族で月約2万円以下なので、フィリピンの物価が安いとはいえ相当厳しい暮らしです。最低限の5人分の食費以下の、月収約15,000円以下の割合も5.2%います。ちょうど、よく言われる1人1日100円くらいです。

中流層は5人で約4万円~22万円と、結構幅広いです。なぜこのデータが5人で1世帯にしているのかよく分かりませんが、とにかく計算しづらいです。

1人あたりで考えて、約4万円あれば結構いい生活ができますし、1万円以下だとマニラやセブではきついです。ただ、5人家族で4万円なら何とかなります。

僕が今まで見てきた感覚で言うと、5人家族で2万円くらいの世帯が多いのですが、それだと貧困ライン以下で、20%程度なんですね。僕の友達に貧困層が多いのかもしれません。

逆に、フィリピンには1.4%の富裕層がいます。人口にすると、約151万人です。ただ、5人家族で月約25万円なので、日本人の感覚的に、上位1.4%の富裕層という程でもないかもしれません。まあ、それ以上は青天井ですが。

フィリピンで25万円もあればかなりいい暮らしができますよ。セブのちょっと高級なコンドミニアムでも家賃は5万円くらいです。

5人家族で世帯収入25万円以上なら、フィリピンでは上位1.4%の富裕層になれます。日本人がフィリピンに移住する大きな理由の一つです。

また、2015年から2018年で所得が上がり、貧困率が下がったというデータがありますが、全く実感はありません。フィリピンは毎年数%経済成長していて、物価もどんどん上がっていますが、庶民の給料は上がっていないと思います。

支出の割合

低所得層中流層富裕層
食費57.541.321.3
教育2.13.33.9
健康2.03.86.2
交通費4.76.07.1
光熱費6.56.65.7
(2015年)

まず、明らかに低所得層の食費の割合が高いことがわかります。支出に占める食費の割合をエンゲル係数と言います。エンゲル係数が高いほど生活水準は低く、日本は25%程度です。35%か40%を超えると暴動が起きるレベルとか聞いたことがある気がします。

フィリピン人の低所得層は57.5%、富裕層は21.3%とかなりの差があります。ただ、低所得層のなかでも貧困層の人たちは、僕の体感ではほぼ100%の人もいます。

生きる上で食費は絶対に削れません。なので、服がボロボロでも、着ていなくても、家が無くても食費は必要です。

また、当然ですが教育や健康に使うお金の割合は、所得が多くなるほど高くなることもわかります。よく貧困スパイラルと言われますが、貧困層は教育を受けられず、就職も困難なため、貧困から抜け出すことは難しいです。

全部の数字を足しても100%にならないのは、その他の用途に使うお金です。低所得層は30%以下、富裕層は50%以上あります。この中から遊びに使ったり、貯蓄に回したりできます。

中には外国人が海外旅行で泊まるような高級ホテルに泊まる富裕層のフィリピン人もいます。

一方で、そんなところには全く縁がないような路上生活者もよく見ます。

残酷かもしれませんが、これがフィリピンの格差です。

データの限界

フィリピンのような発展途上国では、調査に限界があると思います。体感でエンゲル係数100%の人もいると言いましたが、それは路上で暮らしているような人たちです。

フィリピン人の中には戸籍が無い人もいます。スラム街はほぼ治外法権です。2015年に、フィリピンの人口は1億人を突破しましたが、噂では2億人とも言われています。

そんな人たちから、収入や支出のデータは取れないんじゃないかと思います。中にはお金を貰ったり、拾ったり、盗んだりする人もいますからね。

そんなわけで、政府が発表しているデータも限界があり、正しいデータでは無いかもしれません。

まとめ

フィリピン=貧しいというイメージはありますが、データを見て日本と比べると、本当にそうかもしれません。

ただし、発展途上国でデータを取るのは限界があり、フィリピンに少し関わったとしても実際はどうかわかりません。

僕はこれからも実際に住んでわかったことを発信していこうと思います。

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