フィリピンにも日本と同じように幼稚園、小学校、中学校、高校、大学があります。その教育制度は似ているところもありますが、全く違うところもあります。
例えば、夏休みが3~4月だったり、中学4年、高校2年、義務教育13年だったり。算数が苦手で英語が得意なのもフィリピン人の特徴です。日本との違いを比べてみるとおもしろいですよ。
今回はフィリピンの教育制度についてご紹介します。
フィリピンの学校教育制度
義務教育は13年
フィリピンの義務教育は、幼稚園1年、小学校6年、中学校4年、高校2年の合計13年です。
これは日本の義務教育の9年と比べると長いですが、日本人の100%近くが高校に進学しますし、約50%は大学に進学します。一方で、フィリピン人の中にはいろんな事情で小学校にも行けない子どもがいます。
お金が無い、15歳で妊娠したなどの事情から学校に行けない人もいます
僕の友達で、20代で小学1年生からやり直している人がいます
2015年までの義務教育は小学校6年、高校4年の10年でした。教育が足りない、16歳で社会人になっても仕事がない、働けないなどの理由から、最近法律が改正されています。
2016年に初めて中学校の制服を見たのを覚えています
ちょっとややこしいですが、日本で言うゆとり教育世代の狭間みたいな感じです
2016、2017年にハイスクールを卒業した生徒は少なく、浪人生の大学受験がすごく有利でした。
この年に大学に入学した友達もいます
1学年は6月~3月
フィリピンの新年度は6月から始まります。年度の終わりは日本と同じく3月で、4月、5月は夏休みです。年度中に祝日以外の長期休暇はありません。
小学1年生は日本と同じ6歳で、6月15日を基準にしています。ただ、これもあまりきっちりしたものではなく、飛び級や留年も多いです。
特に田舎は戸籍も無いような人もいるので、年齢も家族も適当だったりします。能力があれば5歳で小学生になったり、学費が払えず1年休学したりなどもあります。
公立の学校と私立の学校
外務省によると、2017年10月の時点でフィリピン国内には5,965の公立校と4,910の私立校、計10,875校があるそうです。
参考:諸外国・地域の学校情報
フィリピンでは子どもの数が多すぎて、公立校では満足な教育が受けられないという実情もあります。富裕層の子どもは私立校に行くことが多く、教育のレベルも高いです。家庭によっては家でも英語しか話さない人もいます。
友達に1人だけ富裕層がいます
私立校に通う6歳の子どもは、僕より英語ができます
公立校の授業料は無料ですが、制服や通学カバン、食費などその他にかかる費用が払えず学校に行けない人もいます。仕事がない親、教育を受けていない親は教育を受けさせることの大切さがわからないので、子どもを学校に行かせません。その結果、子どもが成長しても仕事がありません。貧困層によくある貧困スパイラルです。
フィリピン人が好きな教科・得意な教科
※ここからは人に聞いた話や僕の感想です。
フィリピン人が得意な教科は英語です。これだけは日本の英語教育とは比べ物になりません。フィリピン人から英語を学ぶために毎年多くの日本人がフィリピンに留学しますし、僕も半年間セブに留学して英語を学びました。
フィリピンではほとんどの授業を英語で行います。これはフィリピン語が完璧ではなく、借用語が多いことも理由だと思います。例えば日本で「酸素」、「水素」と習う単語はフィリピン語にはなく、「oxygen」、「hydrogen」と英語のまま習います。
母国語のタガログ語やビサヤ語はアルファベットを使うというところも、フィリピン人が英語を習得しやすい要因だと思っています。逆に言うと、日本人はカタカナのせいで英語ができないとも言えます。
僕はいつまでたってもLとRが聞き取れません
また、歴史が得意なフィリピン人も多いです。完全に個人的な意見ですが、勉強する期間が短く、できごとも少ないからだと思います。
これくらいなら誰でもわかりますし、僕も覚えました
フィリピンの歴史は短いです
フィリピンの歴史は日本と比べて圧倒的に情報量が少なく、勉強するのが簡単です。そのため、学校の授業数はかなり少ないです。
それを差し引いても歴史に詳しい人が多い気がします
フィリピン人が嫌いな教科・苦手な教科
フィリピン人が苦手な教科は確実に算数、数学です。フィリピンに詳しい日本人なら誰に聞いてもそう答えると思います。とにかく計算が苦手で、簡単な足し算ができない人もいます。
90ペソのビールを2本持って行き、200ペソ出しました。店員は電卓で90+90をします。次に、置かれた200ペソを見て-200しようとしたところで、「お釣り20ペソだから早くして」と言いました。2014年のことですが、あまりに衝撃的すぎていまだに覚えています。
200ペソの20%オフがわかる人に出会って感動したことがあります
そのレベルです
意外と国語の授業が嫌いという人も多いです。授業で習う国語はフィリピン語で、これは公用語を制定する際にマニラで話されるタガログ語をもとに作られた言葉です。
セブで話されるのはビサヤ語で、テレビで聞くタガログ語とも違います。フィリピン人の友達曰く、使いもしない言語を習う意味がわからないそうです。
そう考えると日本で習う古文や漢文も同じですし、国語や現代文も難しかったですよね。現代文なんて日本語の授業のはずなのに、苦手な人もいました。
まとめ
フィリピンの学校のことがざっくりわかったと思います。
特に貧困層の子どもは学校に行けず、成長しても貧困から抜け出せないというのは大きな課題です。
僕は少しでも役に立とうとボランティアをしていますが、微々たるものにすぎません。フィリピンの格差は広がる一方です。国レベルで動かなければ変わらないと思います。
コメント